iyasichan’s diary

しろんちゃんに憧れて

感謝

目をつむれば家のこと。

愛されていた記憶のこと。

条件付きで、怖くて、触れない愛の音。

 

戻りたいと、ない場所を指す。

帰りたいと、ない場所を指す。

 

5分前の「君の分まで生きる」はどこに行ったの?

君はどこにいるの?なんで置いていっちゃうの?

なんで会えない場所に行っちゃうの?

 

明日銭湯に行くから傷は付けないでおいた、なんて生ぬるい心で、今日も壊れた心が塞がらない。

 

名前も知らない曲の音が、私をどんどん壊していく。

わがままで、大事も愛も何も分からない。

生きる道標がない中で、

1人ぽつんと白いねこ。

 

君が描く歌に、君のともす声に

橋の真ん中から家に折り返した。

 

そんな夜を繰り返しているんだ。

僕はどう息をすればよかったんだろう。

 

屋根裏部屋の寒い暑い部屋で。

「ここよりはマシ」と強がってきた心の内側で。

 

傘をささない自分はかっこいいと

傘もない私が言った。

本当は傘が欲しいなんていったら、ほら雨に失礼だからさ。

 

さあ、また来る前に。ここよりは辛くないから。

そっと、ぎゅっと。

 

要らない思い出を増やしていった。

いらない思い出で頭がいっぱいだ。

要らない思い出なんて欲しくなかった。

 

あれで良かったはずなのに。

生まれた時からきっとボタンを掛け違えていたのか。鈍い愛情が。

 

甘く、ぬたたい所で、ぬくぬくと。

あぁ、あなたも仲がいいんですねと言わんばかりに飛ばして。

 

君の顔が変わって見えた悪夢。

そっと伸ばした手を僕はすぐにひっこめた。

 

今日なんてもう欲しくなかった。

明日も欲しくない。

明後日も。

明明後日も僕にはなくていい。

鍵盤

八十八鍵の、端っこを押す。

少女が言った

「ママ、この音変だよ?」

『 あら、この前調律してもらったばかりなのにねぇ。』

その黒鍵のソがぼくだ。

 

本当に大事なことを言う前に、

『 これは、ただ独り言なんだけどさ、』

ってつけた。

 

大人ぶるのは完璧なのに

大人になることは出来なくて、

何も無い僕は、その形の無さを、急いでいる演技で誤魔化した。

夢だけおいて走る僕はかっこいいでしょう、と言わんばかりに。

心の穴はあなたがあけましたと言わんばかりに。

 

死ぬには強くて、生きるのには弱かった。

 

崩れ落ちる夜を、綺麗だと、まだ

ぼくは思えなかった。

また、

僕は思えなかった。

夜行

トラックに轢かれようとした夜があった。

親の前で反抗できなかった僕は、せっかくなら

大嫌いなこの町でひかれてやろうと、

誰も起きていない真夜中に1人家を出た。

 

バス停のある交差点の横で、

自分の最後を委ねるトラックを見定めていた。

左足を前に出して、道路のギリギリを攻めながら次々とくる車を見ていた。

 

ふと、黒い車が僕の前に止まった。

『 おじょうちゃん、どこまで乗ってくの』

空車のタクシーが、僕をタクシー待ちの客と間違えたようだ。

 

どこかこの憎い世界に負けた気がして、

上手くできない舌打ちをしながら帰った。

タクシーを見る度に、あの夜が僕の心を惹くんだ。